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映像制作の企画書は制作会社に任せられる|依頼範囲と進め方

ボーフィス 大器

2026/7/27

映像制作の企画書は、発注者が書く必要はありません。用意すべきは企画書ではなく、目的・予算・納期といった「与件」です。

「まず企画書を作ってから相談しよう」と考えて、そこで止まってしまう。映像制作の発注では、これが最も多い停滞パターンです。実務では、企画書に書かれる内容の大半は制作会社が作ります。発注者に求められるのは、企画そのものではなく、企画を立てるための材料です。

この記事では、発注者と制作会社の分担、企画提案が無料になる範囲、企画だけを切り出して依頼できるのかまでを整理します。

なぜ「企画書が書けない」で発注が止まるのか

社内で映像制作を提案すると、多くの場合「企画書を出して」と言われます。ところが実際に書こうとすると、手が止まります。

企画書に必要とされる項目には、映像制作の実務知識がないと埋められないものが含まれているためです。

  • 目的に対して何秒の映像が適切なのか

  • 実写とアニメーション、どちらが向いているのか

  • その表現を実現するには何日の撮影が必要なのか

  • 絵コンテはどう描けばいいのか

これらは映像制作の判断であり、発注者側の担当者が判断できなくても問題ありません。むしろ、専門知識のない状態で埋めた企画書は、後から実現不可能だと判明して作り直しになることがあります。

先に企画書を完成させようとするほど、発注は遅くなります。

発注者が用意するのは企画書ではなく「与件」

企画書に書かれる内容は、発注者しか持っていない情報と、制作会社が作る情報に分かれます。

項目

発注者が用意

制作会社が作る

映像の目的・達成したいこと

ターゲット

予算

公開時期・納期

使用媒体(テレビ/Web/展示会など)

社内のNG表現・レギュレーション

既存素材の有無

コンセプト

構成・シナリオ

ストーリーボード(絵コンテ)

参考映像の提示

キャスティング案

撮影計画・スケジュール

見積の内訳

左側だけ揃えば、相談を始められます。

ターゲットだけは制作会社が代わりに決められません

上の表で、ターゲットが発注者側にある点に注意してください。

制作会社はコンセプトや構成を提案できますが、ターゲットは商品・サービスの理解が前提になります。誰に売りたいのか、既存顧客は誰なのか、これから広げたい層はどこか。これを最もよく知っているのは発注者です。

ターゲットが曖昧なまま企画を立てると、映像は必ず抽象的になります。 ここだけは、多少粗くても発注者側から提示してください。

企画提案は無料か、有料か

この点に業界共通のルールはありません。会社によって異なります。

初回の企画提案を無償で行う会社もあれば、企画料として費用が発生する会社もあります。同じ会社でも、提案の深さによって無償と有償を分けている場合があります。

したがって、どこまでが無償なのかを最初に確認することが重要です。 曖昧なまま進めると、後から想定外の請求が発生したり、逆に期待していた提案が出てこなかったりします。

確認しておきたい3点

確認事項

なぜ重要か

どこまでが無償の範囲か

会社ごとに線引きが違う。「企画提案」の指す内容が同じとは限らない

有償の場合、発注時に費用は相殺されるか

相殺される会社とされない会社がある

提案物の権利は誰に帰属するか

不採用となった企画を他社で使えるかに関わる

3つ目は見落とされがちですが、複数社に提案を依頼する場合は特に確認してください。

株式会社M Global Japan の場合

参考までに、当社の線引きを示します。

無償の企画提案に含まれるもの

  • 与件の整理

  • コンセプトの提案

  • 参考映像の提示

  • 簡易版のストーリーボード

契約締結後に作成するもの

  • 具体的なストーリーボード

コンセプトと簡易版のストーリーボードまでを無償でお出しし、方向性を見て選んでいただく形にしています。具体的なストーリーボードを契約後にしているのは、撮影計画・スケジュール・見積と一体で組み立てるものであり、切り離すと精度が落ちるためです。

企画書を制作会社に任せる3つのパターン

依頼の仕方には、大きく3つの形があります。

パターン

発注者の作業量

向いているケース

① 与件を渡して企画から任せる

社内に映像の知見がない/早く動かしたい

② 稟議用の資料まで作ってもらう

決裁者が複数いる/金額が大きい

③ 入札・コンペの提案書を共同で作る

中〜大

自治体案件/複数社比較が前提

① 与件を渡して企画から任せる

最も一般的な形です。目的・ターゲット・予算・納期を伝え、コンセプトから提案を受けます。

② 稟議用の資料まで作ってもらう

社内決裁に必要な資料を、制作会社側で用意する形です。効果の見込み、費用の内訳、スケジュールなど、決裁者が判断するための情報を整えます。映像の企画書とは目的が異なるため、別途組み立てが必要になります。

③ 入札・コンペの提案書を共同で作る

自治体案件や、社内で複数社を比較する場合の形です。提出様式が指定されることが多く、期限も厳格です。制作会社側が提案書の内容を作り、発注者側が社内手続きと様式の確認を担当する分担になります。

企画だけの依頼は受けられるのか

「企画は A社、制作は B社」という分け方は可能かという質問をいただくことがあります。

業界としては、企画のみを受託する会社も存在します。ただし当社では、企画だけのご依頼はお受けしていません。

理由は、企画と実制作を切り離すと品質が落ちるためです。当社は撮影・編集でどう実現するかを見通したうえで企画を立てています。「この画をこのカメラワークで、この場所で撮れば成立する」という判断が企画に組み込まれているため、実制作を別の会社が担当すると、その前提が崩れます。

発注者側から見たときの整理は次のとおりです。

企画と制作を分けるメリット

  • 企画と制作を別々に比較検討できる

分けたときのリスク

  • 企画の意図が実制作に正確に伝わらない

  • 実現不可能な企画が採用され、制作段階で作り直しになる

  • 問題が起きたときの責任の所在が曖昧になる

複数社の企画を比較したい場合は、企画のみを分離するのではなく、同じ与件を複数社に渡して提案を比べるほうが、実現性を含めて判断できます。

制作会社に渡す与件シート(10項目)

相談の前に、この10項目を箇条書きで整理しておくと、初回の打ち合わせで方向性まで決まります。埋まらない項目は空欄で構いません。

  1. 映像の目的(何を達成したいか)

  2. ターゲット(誰に届けたいか)

  3. 使用媒体(テレビ/Web/SNS/展示会/採用サイトなど)

  4. 予算

  5. 公開希望時期

  6. 想定している尺(不明なら空欄)

  7. 既存素材の有無(過去の映像・写真・ロゴデータなど)

  8. NG表現・社内レギュレーション

  9. 社内の意思決定フローと承認者

  10. 参考にしている映像(あれば URL)

9番を見落とす方が多いのですが、承認者が誰で何段階あるかによって、スケジュールの組み方が変わります。 特に海外本社の承認が必要な場合は、初稿提出の時期そのものを前倒しする必要があります。

より詳細な形式で整理したい場合は、提案依頼書(RFP)として文書化する方法もあります。

自治体・入札案件では何が変わるか

自治体の映像制作は、公募型プロポーザル方式で実施されることが一般的です。この場合、企画書は「企画提案書」という指定様式で提出します。

民間案件との主な違いは次のとおりです。

  • 参加表明書、企画提案書、見積書など、提出書類が様式で指定される

  • 提出期限が厳格で、遅延は失格になる

  • 評価基準と配点が事前に公開される

  • 著作権の帰属が仕様書で指定されている(買取が多い)

様式が決まっているぶん、何を書くべきかは明確です。一方で、様式の枠内でどう差をつけるかが問われます。

社内稟議を通すために追加で必要なもの

映像の企画書と、稟議を通すための資料は別物です。稟議では、企画の良し悪しよりも次の点が問われます。

  • なぜ今この投資が必要か

  • 費用対効果の見込み

  • 他の手段(広告出稿など)との比較

  • 制作後の運用計画

映像の企画書をそのまま稟議に出すと、「で、いくらのリターンがあるのか」で止まります。決裁者が見る資料は、別に組み立てる必要があります。

よくある質問

Q. 企画書は自分で書かないといけませんか?

A. 必要ありません。目的・ターゲット・予算・公開時期・使用媒体の5点が決まっていれば、そこからコンセプトの提案が可能です。企画書という形式に整える作業は制作会社側で行います。

Q. 企画提案は無料ですか?

A. 会社によって異なるため、必ず事前にご確認ください。当社では、与件整理・コンセプト提案・参考映像の提示・簡易版ストーリーボードまでを無償でお出ししています。具体的なストーリーボードは、撮影計画・見積と一体で組み立てるため、契約締結後の作成としています。

Q. 企画だけお願いすることはできますか?

A. 当社ではお受けしていません。撮影・編集での実現方法を前提に企画を立てているため、実制作を別の会社が担当すると前提が崩れるためです。複数社を比較されたい場合は、同じ与件を各社に渡して提案を比べる方法をおすすめします。

Q. 予算も目的もまだ固まっていませんが、相談できますか?

A. できます。案件化していない段階でのご相談も承っています。予算感が分からない場合は、実現したいことをお聞きしたうえで、いくつかの規模のパターンをお示しします。お問い合わせには24時間以内にご返信しています。

まとめ

  • 映像制作の企画書は、発注者が書く必要はありません

  • 用意すべきは企画書ではなく、目的・ターゲット・予算・納期・媒体の与件です

  • ターゲットだけは制作会社が代わりに決められないため、粗くても提示してください

  • 企画提案が無償になる範囲は会社ごとに違います。事前に確認してください

  • 企画と実制作を分けると、実現性の担保が難しくなります

企画の相談は、与件が固まる前でも構いません。何を作るべきかを整理するところから、一緒に進めることができます。

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